「FJクルーザー」と「ランクルFJ」。名前が似ている2台ですが、実は設計も立ち位置も全く異なる車です。
FJクルーザーは2018年に販売終了した名車で、レトロデザインと4.0Lエンジンの力強さが魅力の本格SUV。
一方、ランクルFJは2026年に登場予定の新型コンパクトSUVで、最新の安全装備と高効率エンジンを備えた次世代モデルです。
本記事では、この2台の違いを「サイズ」「価格」「性能」「デザイン」などの観点から徹底比較します。
“FJクルーザーの魂を受け継ぐ新時代のランクル”とはどんな車なのか。
購入を検討している人にも、トヨタSUVの歴史を知りたい人にも役立つ内容をわかりやすく解説します。
FJクルーザーとランクルFJの違いとは?

「FJクルーザー」と「ランクルFJ」は名前が似ているため、同じ車のように思われがちですが、実際は全くの別物です。
ここでは、2台がどのような関係にあるのか、そしてどんな違いがあるのかを分かりやすく整理します。
2台の関係性と誤解されがちな理由
FJクルーザーは2006年に登場したSUVで、2018年に生産終了となったモデルです。
一方のランクルFJは、2026年に発売予定の新型SUVで、現行のランドクルーザーシリーズの中ではエントリーモデルに位置づけられます。
名前が似ているのは「FJ」という共通のコードを持つためであり、これはトヨタの伝統的オフローダー「FJ40型」への敬意を示したものです。
そのため、「ランクルFJはFJクルーザーの後継」と言われることがありますが、実際には設計も構造も完全に異なる別モデルです。
| 項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| 発売時期 | 2006年〜2018年 | 2026年発売予定 |
| ボディタイプ | ミドルサイズSUV | コンパクトSUV |
| プラットフォーム | 専用設計 | IMVプラットフォーム |
| 立ち位置 | FJ40の現代版 | ランクルファミリーの新世代 |
このように、両者は同じ「FJ」の名を冠しながらも、ターゲットも性格も異なります。
共通するのは、“本格派SUVとしてのスピリット”だけと言えるでしょう。
発売時期・立ち位置の明確な違い
FJクルーザーは2000年代のアメリカ市場向けに開発されたモデルで、レトロなデザインとパワフルな4.0Lエンジンが特徴でした。
一方、ランクルFJは世界的な環境規制の流れを受けて開発されたダウンサイジングモデルです。
2.7Lエンジンを搭載し、燃費性能や安全性能を現代仕様に最適化しています。
| 比較項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| エンジン | 4.0L V6 | 2.7L 直4 |
| 燃費 | 約8.0km/L | 約10〜12km/L(予想) |
| 価格帯 | 約330万円〜 | 約380万円〜(予想) |
つまり、ランクルFJはFJクルーザーの再来ではなく、時代に合わせて進化した新コンセプトSUVです。
この点を理解しておくと、2台の違いがより明確に見えてきます。
FJクルーザーとはどんな車?人気の理由と歴史

ここでは、FJクルーザーがどんな車だったのか、その人気の理由や販売終了の背景を振り返ります。
現在も根強い人気を誇る理由を知ることで、ランクルFJがどのようにそのDNAを受け継いでいるかが見えてきます。
デザインの特徴とFJ40型からの継承
FJクルーザーのデザインは、1960年代の「FJ40型ランドクルーザー」を現代風にリメイクしたものです。
丸型ヘッドライト、ホワイトルーフ、「TOYOTA」ロゴなど、クラシカルな要素を大胆に取り入れています。
その結果、無骨で愛嬌のある外観が“走るレトロデザインSUV”として人気を集めました。
| デザイン要素 | 特徴 |
|---|---|
| ヘッドライト | 丸型2灯式でFJ40を再現 |
| ルーフ | ツートンのホワイトカラー |
| リアドア | 観音開き方式で独自性あり |
見た目だけでなく、オフロード性能も高く、北米では「Jeepラングラー」のライバルとして認知されていました。
販売終了の背景と中古市場での価値
FJクルーザーは2018年に販売終了しましたが、その理由は燃費と安全基準の厳格化にありました。
4.0Lエンジンのパワーは魅力的でしたが、環境性能が時代に合わなくなったのです。
それでも中古市場では高い人気を保ち、特に2017年の「ファイナルエディション」は新車価格を超える値段で取引されることもあります。
| 年式 | 平均価格(中古) |
|---|---|
| 2011年式 | 約280万円前後 |
| 2017年式 ファイナルエディション | 約450〜500万円 |
つまり、FJクルーザーは“時代が終わっても色褪せない個性派SUV”として今なおファンの心を掴んでいるのです。
ランクルFJとは?2026年発売予定の新型SUV

ここでは、2026年発売予定の「ランクルFJ」がどんなコンセプトで開発されたのか、そしてどんな特徴を持つのかを詳しく見ていきましょう。
FJクルーザーのデザインを受け継ぎつつも、性能面では現代的に進化した全く新しいSUVです。
コンセプトと開発の狙い
ランクルFJは、トヨタが2025年10月に世界初公開した新型コンパクトSUVです。
「ランドクルーザーのスピリットを、もっと身近に」というコンセプトで開発されました。
つまり、ジムニーでは小さすぎるけれど、ランクル250は大きすぎるというユーザー層に向けた“ちょうどいいサイズの本格オフローダー”という立ち位置です。
| 項目 | ランクルFJの特徴 |
|---|---|
| コンセプト | 小型・軽量・高剛性の新世代ランクル |
| 位置づけ | ランクル250の弟分、ジムニーの上位 |
| プラットフォーム | IMVプラットフォーム(信頼性の高い構造) |
| 駆動方式 | パートタイム4WD+リアデフロック |
また、外観はFJクルーザーを思わせる丸目ライトとスクエアボディを採用。
どこか懐かしく、それでいて都会的な印象を与えるデザインになっています。
搭載エンジン・プラットフォーム・安全装備
ランクルFJには、2.7L直列4気筒エンジンが搭載される見込みです。
これはランクル250と共通のユニットで、最大出力120kW(約163ps)、最大トルク246Nmを発揮します。
4.0LのFJクルーザーに比べるとパワーは控えめですが、燃費性能と環境性能は大幅に改善されています。
| エンジン | 2.7L 直列4気筒 |
|---|---|
| 出力 | 120kW(約163ps) |
| 燃費 | 10〜12km/L(予想) |
| 駆動方式 | パートタイム4WD(デフロック付き) |
安全装備には、最新のトヨタセーフティセンスを搭載。
衝突回避支援ブレーキやレーンキープアシストなど、現代の安全基準に完全対応しています。
“昔ながらの走破性”と“今どきの安全性能”が両立したSUVとして注目を集めているのです。
FJクルーザーとランクルFJのスペック比較表

続いて、FJクルーザーとランクルFJのスペックを項目別に比較していきましょう。
ここではボディサイズ、エンジン性能、燃費、走行性能などを整理し、それぞれの特徴を客観的に見ていきます。
ボディサイズ・エンジン性能・燃費を比較
FJクルーザーは全長4635mm、全幅1905mmとやや大柄でしたが、ランクルFJは全長4575mm・全幅1855mmと少しコンパクトになっています。
高さは逆に120mmアップしており、より高いアイポイントと広い室内空間を実現しています。
| 項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 4635×1905×1840mm | 4575×1855×1960mm |
| エンジン | 4.0L V6 | 2.7L 直列4気筒 |
| 出力 | 276ps | 120kW(約163ps) |
| 燃費 | 8.0km/L | 10〜12km/L(予想) |
| 価格 | 329〜355万円 | 380〜400万円(予想) |
この比較からわかるように、ランクルFJはサイズを抑えつつも快適性と効率を重視しているのが特徴です。
パワーではFJクルーザーに及びませんが、日常的な使い勝手ではランクルFJのほうが上回るでしょう。
走行性能とオフロード能力の違い
両車ともパートタイム4WD+リアデフロックを採用しており、悪路走破性は非常に高い水準にあります。
ただし、ランクルFJは新世代のIMVプラットフォームを採用することでより高い剛性と軽量化を実現。
街乗りの乗り心地も向上しています。
| 項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| 駆動方式 | パートタイム4WD | パートタイム4WD |
| リアデフロック | あり | あり |
| プラットフォーム | 専用設計 | IMV |
| オフロード性能 | 高い(伝統的) | 高い+安定性重視 |
つまり、FJクルーザーが「荒野を駆け抜ける冒険車」だとすれば、ランクルFJは「街にも似合う万能オフローダー」なのです。
両者の違いは性能だけでなく、使うシーンの想定にもあります。
デザイン・装備・価格の違いを徹底分析

ここでは、FJクルーザーとランクルFJの「見た目」「内装」「価格」に注目して比較します。
どちらも個性的なSUVですが、デザインの方向性や装備の内容、そしてコストパフォーマンスには大きな違いがあります。
外装と内装のデザイン比較
FJクルーザーのデザインは、クラシックなオフローダーを思わせる“レトロ&無骨”スタイルが特徴です。
一方でランクルFJは、同じ丸目ライトを持ちながらも現代的でシャープな印象を与える“ネオクラシックSUV”へ進化しました。
| デザイン項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| ヘッドライト | 丸型+メッキリング | LED丸目+スクエアフェイス |
| ボディ形状 | 角張ったフォルム | 直線基調だが空力改善 |
| カラー | ポップなツートンカラー | アースカラー中心の落ち着いた配色 |
| 内装 | 樹脂素材中心のシンプル設計 | 最新インフォテインメント搭載 |
つまり、FJクルーザーが「遊び心」重視なら、ランクルFJは「機能性」重視です。
どちらも魅力的ですが、生活スタイルに合わせて選ぶことがポイントになります。
価格帯・維持費・コスパの差
価格面では、FJクルーザーの新車価格が約330万円〜だったのに対し、ランクルFJは約380万円〜と約50万円の差が見込まれています。
しかし、この差には安全装備や燃費性能の進化分が含まれており、実質的なコスパは大きく変わりません。
| 項目 | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| 新車価格 | 約329〜355万円 | 約380〜400万円(予想) |
| 燃費 | 8.0km/L | 10〜12km/L(予想) |
| 年間維持費(目安) | 約30万円〜 | 約25万円〜 |
| 中古市場価格 | 300〜500万円 | 未発売 |
FJクルーザーは中古価格が上昇傾向にあり、今ではプレミア価格がついている個体も多いです。
一方、ランクルFJは新車保証が受けられるため、購入後の安心感が大きなメリットとなります。
「資産価値」で選ぶならFJクルーザー、「安心感」で選ぶならランクルFJ」という構図です。
どちらを選ぶべき?タイプ別おすすめ

ここでは、あなたのライフスタイルや好みに合わせて、どちらのSUVが合っているかをタイプ別に整理します。
どちらも魅力的な一台ですが、重視するポイントによって最適な選択は異なります。
FJクルーザーが向いている人
FJクルーザーはすでに生産終了していますが、中古市場では根強い人気を誇ります。
以下のような人に特におすすめです。
- クラシックで遊び心あるデザインが好きな人
- 大排気量エンジンの迫力ある走りを楽しみたい人
- 希少性のある車を所有したい人
- DIYやカスタムを楽しみたい人
ただし、燃費の悪さと車体の大きさはネックになることもあります。
それでも「車を趣味として楽しみたい」という方にとっては、これ以上ない魅力的な相棒です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| レトロなデザイン/高いオフロード性能 | 燃費が悪い/車幅が広く街乗りしにくい |
| 中古車の希少価値が高い | 安全装備が古い |
ランクルFJが向いている人
ランクルFJはこれから発売される新型SUVです。
以下のようなニーズを持つ人に向いています。
- 最新の安全装備と快適性能を重視する人
- コンパクトで街乗りも快適なSUVを探している人
- 燃費や維持費を抑えたい人
- 家族で安心して乗れる本格SUVが欲しい人
また、ジムニーの小ささに物足りなさを感じる人や、ランクル250では大きすぎると感じる人にとって、ランクルFJは“ちょうどいいランクル”としてベストな選択になるでしょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 最新の安全装備/燃費が良い | FJクルーザーのような個性は薄め |
| 新車保証で安心 | 発売直後は納期が長くなる可能性 |
どちらも魅力がありますが、あなたが「楽しさ」を重視するならFJクルーザー、「実用性」を重視するならランクルFJがおすすめです。
方向性が違うからこそ、どちらも“正解”なのです。
まとめ|FJクルーザーとランクルFJは「似て非なる存在」
ここまで、FJクルーザーとランクルFJの違いをさまざまな角度から比較してきました。
2台は名前こそ似ていますが、実際は全く異なる性格を持つSUVです。
FJクルーザーは、2000年代にトヨタが送り出した“レトロデザインの本格SUV”。
そしてランクルFJは、そのスピリットを現代の技術で再構築した“次世代コンパクトオフローダー”です。
| 比較ポイント | FJクルーザー | ランクルFJ |
|---|---|---|
| 時代背景 | 2000年代・パワー重視の時代 | 2020年代・環境性能重視の時代 |
| 魅力 | 無骨で個性的なデザイン | コンパクトで扱いやすい実用性 |
| おすすめタイプ | 趣味性・希少性を求める人 | 安全性・燃費を重視する人 |
つまり、両者の違いは「過去を楽しむか、未来を走るか」という選択でもあります。
どちらもランドクルーザーの伝統を受け継ぎながら、それぞれの時代に合った形で進化しているのです。
FJクルーザーは今でも中古市場で高い人気を保ち、ランクルFJは発売前から注目を集めています。
2台に共通するのは、“冒険心を刺激するDNA”であり、その魅力は時代を超えて愛され続けるでしょう。
自分のライフスタイルに合う方を選べば、どちらも一生モノの相棒になります。

