ヴェルファイアの「Z Premier」と聞くと、「廉価版なのでは？」と感じる方も多いかもしれません。
しかし実際には、ヴェルファイアらしい高級感とスポーティーな走りをしっかり両立した、非常に完成度の高いモデルです。
この記事では、Z Premierの価格や装備内容、上級グレード「Executive Lounge」との違い、そして兄弟車アルファードとの比較までを分かりやすく解説します。
「Z Premierは本当にお得なのか？」「自分に合っているのか？」を知りたい方は、この記事を読めばすべてがわかります。
ヴェルファイア「Z Premier」とは？
ヴェルファイアの「Z Premier」は、現行モデル（40系）で最も注目されているグレードのひとつです。
「廉価版」と呼ばれることもありますが、実際には高級ミニバンとして十分すぎる装備と上質さを兼ね備えています。
ここでは、その立ち位置や「廉価版」と言われる理由、そしてトヨタが採用したグレード戦略について解説します。
「廉価版」と呼ばれる理由
2023年6月にフルモデルチェンジした新型ヴェルファイア（40系）は、従来のように多数のグレードを展開せず、「Z Premier」と「Executive Lounge」の2種類に集約されました。
このうち、「Z Premier」はエントリーモデルにあたるため、一部のメディアやユーザーの間で「廉価版」と呼ばれています。
しかし、ここでの「廉価」とは単に価格を抑えたという意味ではなく、「最上級グレードより手が届きやすい価格帯である」という相対的な位置づけにすぎません。
ヴェルファイア Z Premierは、決して装備を削った“格安モデル”ではなく、高級ミニバンの本質をしっかり維持したエントリーモデルです。
40系ヴェルファイアのグレード構成と戦略
トヨタは40系ヴェルファイアを、兄弟車アルファードとの差別化をより明確にする戦略を採りました。
アルファードが「王道の高級感」を重視するのに対し、ヴェルファイアは「走りの楽しさ」と「アグレッシブなデザイン」を追求したモデルとして位置づけられています。
そのため、「Z Premier」であっても装備や内装の質感は非常に高く、実際には一般的な高級車と同等以上の完成度を誇ります。
| グレード名 | 特徴 |
|---|---|
| Z Premier | スポーティーな外観と高級感を両立したエントリーモデル |
| Executive Lounge | 後席の快適性とおもてなし機能を極めた最上級モデル |
このように、ヴェルファイアのグレード構成は非常にシンプルですが、ターゲット層が明確である点が特徴です。
つまり、「自分で運転を楽しみたい人」にはZ Premier、「後席の快適さを最重視する人」にはExecutive Loungeが最適という住み分けになっています。
「Z Premier」の価格と装備内容
次に、「Z Premier」の価格と装備について詳しく見ていきましょう。
価格だけを見れば「高い」と感じるかもしれませんが、実際の装備内容や仕上がりを見ると、その理由がよくわかります。
価格設定とコストパフォーマンス
2025年1月時点での新型ヴェルファイア「Z Premier」の価格は以下の通りです。
| グレード | パワートレイン | 価格（税込） |
|---|---|---|
| Z Premier | 2.4Lガソリンターボ（2WD） | 約670万円〜 |
| Z Premier | 2.5Lハイブリッド（2WD） | 約690万円〜 |
| Executive Lounge | 2.5Lハイブリッド（2WD） | 約870万円〜 |
上位グレードの「Executive Lounge」と比べると、ハイブリッドモデルで約180万円の差があります。
ただしこの差は、後席の快適装備や高級オーディオの有無などによるもので、基本性能や安全装備に大きな差はありません。
つまり、「走る性能」や「運転の楽しさ」を重視する人にとっては、Z Premierの方がむしろコストパフォーマンスが高いといえます。
装備一覧と上位グレードとの違い
Z Premierには、電動オットマン付きの「エグゼクティブパワーシート」、漆黒メッキのフロントグリル、19インチアルミホイールなど、ヴェルファイアの個性を象徴する装備が標準搭載されています。
また、2025年改良モデルでは「デジタルインナーミラー」や「カラーヘッドアップディスプレイ」も標準装備に加わりました。
これにより、見た目だけでなく運転支援機能の充実度も非常に高いレベルに達しています。
| 主な装備 | Z Premier | Executive Lounge |
|---|---|---|
| 後席シート | エグゼクティブパワーシート | エグゼクティブラウンジシート（マッサージ・ベンチレーション付き） |
| サウンドシステム | JBLプレミアムサウンド（オプション） | JBLプレミアムサウンド（標準） |
| フロントグリル | 漆黒メッキ仕上げ | 高輝度塗装メッキ |
| 運転支援装備 | デジタルインナーミラー・HUD標準 | 同等装備 |
見た目も走りも高級感も楽しめる「Z Premier」は、最上級グレードに迫る完成度を持つグレードです。
「Executive Lounge」との比較
ヴェルファイアの「Z Premier」と「Executive Lounge」は、どちらも高級ミニバンとしての完成度が非常に高いですが、その違いはどこにあるのでしょうか。
ここでは、最も大きな差が出る「後席装備」と「内外装の質感」について比較していきます。
後席の快適装備の違い
2つのグレードで最も明確に差がつくのは、後席の快適装備です。
「Executive Lounge」では、マッサージ機能やベンチレーション（送風）、格納式テーブルを備えた「エグゼクティブラウンジシート」が採用されています。
これはまさに「走る応接室」と呼ぶにふさわしい仕様で、ショーファーカー（運転手付きの車）としても利用されるほどの豪華さです。
一方、「Z Premier」の後席は「エグゼクティブパワーシート」です。
電動リクライニングやオットマン、シートヒーターなどを備え、快適性は非常に高いものの、マッサージ機能やベンチレーションは省かれています。
つまり、後席に最高のおもてなしを求めるかどうかが、グレード選びの分かれ道です。
| 装備項目 | Z Premier | Executive Lounge |
|---|---|---|
| 後席シート | エグゼクティブパワーシート | エグゼクティブラウンジシート |
| マッサージ機能 | なし | あり |
| ベンチレーション | なし | あり |
| 格納式テーブル | なし | あり |
| JBLサウンドシステム | オプション | 標準 |
「Z Premier」は、快適性を保ちながらも合理的な価格を実現した“自分で運転する人のための高級ミニバン”です。
内外装（インテリア・エクステリア）の差
次に、見た目の違いを確認してみましょう。
両グレードのエクステリアデザインは非常に似ており、漆黒メッキのフロントグリルや専用デザインの19インチアルミホイールを装備しています。
「Executive Lounge」ではメッキパーツが高輝度塗装になっている点を除けば、外観からグレードを見分けるのは難しいレベルです。
インテリアでは、「Executive Lounge」にナッパレザー（高級本革）を採用しているのに対し、「Z Premier」は合成皮革を中心に仕上げられています。
ただし、質感自体は非常に高く、乗り込んだ瞬間に「これがエントリーモデル？」と驚く人も少なくありません。
| 比較項目 | Z Premier | Executive Lounge |
|---|---|---|
| シート素材 | 合成皮革 | ナッパレザー |
| 外装仕上げ | 漆黒メッキ＋ブラック塗装 | 高輝度メッキ仕上げ |
| ホイール | 19インチ（切削光輝＋ブラック） | 19インチ（高輝度塗装） |
見た目で大きく差が出ないことは、「Z Premier」オーナーにとって大きな満足ポイントといえるでしょう。
ヴェルファイア Z Premierとアルファード Zを比較
ヴェルファイア Z Premierとアルファード Zは、兄弟車関係にあります。
どちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。
ここでは、デザインや走り、装備の違いを比較し、それぞれの魅力を整理します。
デザインと走行性能の違い
アルファードとヴェルファイアは、基本的なプラットフォームやパワートレインを共有していますが、デザインと走りの味付けに明確な違いがあります。
アルファードは「王道の高級感」をテーマに、クロームメッキを多用した上品な外観が特徴です。
一方、ヴェルファイアは「漆黒メッキ」を基調とし、よりアグレッシブで個性的なデザインに仕上げられています。
また、ヴェルファイアには「フロントパフォーマンスブレース」が追加され、サスペンションにも専用チューニングが施されています。
その結果、アルファードよりも操縦安定性と応答性に優れた“走るミニバン”としての特性が際立っています。
| 項目 | ヴェルファイア Z Premier | アルファード Z |
|---|---|---|
| デザイン | 漆黒メッキ・スポーティー | クロームメッキ・王道高級 |
| 走り | 専用補強・チューニングあり | 快適性重視の標準設定 |
| 性格 | 個性派・運転を楽しむ層向け | 上質派・快適重視の層向け |
装備・価格・ターゲットの比較表
次に、装備や価格を整理した比較表を見てみましょう。
両車は価格帯が近く、迷うポイントが多いですが、ターゲットが微妙に異なります。
| 項目 | ヴェルファイア Z Premier（ハイブリッド） | アルファード Z（ハイブリッド） |
|---|---|---|
| 価格（税込） | 約690万円〜 | 約640万円〜 |
| デザイン | スポーティーで力強い印象 | 上品で堂々とした印象 |
| 走り | 剛性感が高く応答性に優れる | 静粛性と乗り心地重視 |
| 専用装備 | フロントパフォーマンスブレース | 特になし |
| 運転支援装備 | デジタルインナーミラー・HUD標準 | オプション設定 |
| ターゲット | 自分で運転する人・個性重視 | ファミリー中心・快適性重視 |
「どちらが優れているか」ではなく、「どちらの価値観に共感するか」で選ぶのがベストです。
「Z Premier」をお得に購入する方法
ヴェルファイア Z Premierは、価格・人気ともに非常に高いモデルです。
そのため「値引き交渉が難しい」といわれることも多いですが、実は購入時の工夫次第で総支払額を抑えることができます。
ここでは、ディーラーとの交渉ポイントと、購入後のリセールを見越したお得な買い方を紹介します。
値引き交渉の実情とコツ
新型ヴェルファイア（40系）は登場以来、需要が非常に高く、生産が追いつかない状況が続いています。
このため、「Z Premier」でも値引きはほとんど期待できず、数万円〜10万円程度が限界というケースも珍しくありません。
その一方で、トヨタ販売店によっては、オプションやメンテナンスパックを組み合わせることで実質的な値引きを実現していることもあります。
本体価格よりも「オプション値引き」や「下取り価格の上乗せ」を狙うのが賢い方法です。
| 交渉ポイント | 内容 |
|---|---|
| オプションのセット購入 | 純正ナビ・ドラレコなどをまとめて契約することで、販売店側が調整しやすくなる。 |
| 複数ディーラー比較 | 販売チャネル（トヨタ店、ネッツ店など）をまたいで見積もりを取ると、価格差が出ることも。 |
| 下取り車の別売却 | ディーラー査定と買取専門店査定を比較し、最も高い方に売却する。 |
実際、下取りを別に出すだけで数十万円の差が生まれるケースもあります。
値引き交渉が難しい車こそ、「トータルコストを下げる戦略」が重要です。
リセールバリューと残価設定ローンの活用法
ヴェルファイアは、国産車の中でもトップクラスのリセールバリューを誇ります。
特にZ Premierは、需要が高く中古市場でも人気があるため、数年後の売却時にも高値がつきやすいモデルです。
そのため、トヨタが提案する「残価設定ローン」を活用するのも有効な選択肢です。
これは、あらかじめ数年後の残価（買取保証額）を設定し、残りを分割払いにするローン方式です。
月々の支払いを抑えつつ、新車に乗れる点が魅力ですが、注意点もあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 月々の支払いが軽くなる | 走行距離や車両状態に制限がある |
| 高い残価で設定されやすい | 途中解約・乗り換え時に精算が発生する |
| 数年後に新車へスムーズに乗り換え可能 | 所有よりも「利用」に近い契約形態 |
走行距離が短く、丁寧に車を使う人ほど残価設定ローンは有利です。
Z Premierはリセールも高いため、3〜5年で乗り換える計画なら非常にコスパの良い選択になります。
まとめ：ヴェルファイア「Z Premier」はどんな人におすすめ？
ここまで、ヴェルファイア Z Premierの価格・装備・グレード差を見てきました。
「廉価版」と呼ばれることもありますが、実際にはヴェルファイアらしい高級感と走りを十分に味わえる、完成度の高いモデルです。
Z Premierが最適なユーザー像
Z Premierは、次のような方に特におすすめです。
- 主に自分で運転し、走りの質を楽しみたい人
- 後席よりも運転席中心の快適性を重視する人
- アルファードよりも個性あるデザインを求める人
- 上級グレードほどの豪華装備は不要な人
こうしたニーズに対して、Z Premierは価格・装備・性能のバランスが非常に優れています。
「高級ミニバンを、スマートに乗りこなしたい」人にとって、Z Premierは理想的な選択肢です。
購入前に確認しておきたいポイント
最後に、購入時に確認しておきたいポイントをまとめます。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| オプション設定 | JBLサウンドなどはオプション扱いなので、見積もり時に忘れず確認。 |
| 走行距離の想定 | 残価設定ローンを利用する場合、年間走行距離制限を確認する。 |
| 納期 | 人気グレードのため、契約から納車まで半年以上かかるケースもある。 |
これらを理解したうえで選べば、後悔のない購入ができます。
Z Premierは、ヴェルファイアの“本質”を最もスマートに楽しめるグレードです。
高価ではありますが、その満足度は価格以上のものが得られるでしょう。
